2015-01-01から1年間の記事一覧
人間の感覚が周波数比に対応していることは疑いのない事実だと思います。 このことは「其の十」でも触れましたが、「ドレミファソラシド」の基盤となる「音律」が、決して「周波数そのもの」ではなく、 「周波数比」 で規定されていることからも明らかです。…
カラオケで音域が合わない曲があった場合、特別な音感訓練を受けたことがない人でもキーの変更、つまり 「移調」 と言う操作をごく当たり前のように行っているのではないでしょうか? そのとき、例えば 「ド」を「レ」に、「レ」を「ミ」に・・・ と言った具…
移調された曲は物理現象として見れば周波数が異なる明らかに別の曲です。 にもかかわらず人間には同じ曲として認識される、言い換えれば、 「移調のもとでの等価性」 を感じるのは、人間の感覚が 「(周波数)比」 に対応しているからです。 これは「ドレミ…
「移調のもとでの等価性の判別が不正確」 と言うことは、逆に 「調によって差異が生じている」 とも言えます。 移調と言う操作は半音上に移調するごとに各音の周波数に2の12乗根を掛けるだけなので、全体の周波数比は変わりません。 つまり、移調された曲…
宮崎謙一教授の『絶対音感神話』における移調条件下でのメロディ比較の実験ですが、具体的には移調の際に1音だけ微妙にメロディを変えたパターンを交えて、 「移調のもとでの等価性が保たれているかどうか?」 を判別させます。 絶対音感神話: 科学で解き明…
例えば音痴な人が『笑点のテーマ』を口ずさんだとします。 音痴の度合いにもよりますが、おそらくそれを聴いた多くの人は『笑点のテーマ』と判断するのではないでしょうか? また、長調の『笑点のテーマ』を短調に編曲した場合、もちろん曲の雰囲気はガラッ…
では、みなさんに質問です。 「次の2つの写真は同じ写真ですか?」 右の写真は左の写真のRGBを入れ換えたものですが、2つの写真は 「雰囲気は違えど、元は同じ写真」 であることが分かります。 今回、反論者の方から 「移調された曲も同じ曲だと分かる」 …
では、みなさんに質問です。 「次の2つの図形は同じ図形ですか?」 図形Bは図形Aを45度回転したものですが、おそらく多くの人はそのような情報を与えられなくても、またわざわざディスプレイを45度傾けたりしなくても2つの図形が同じ図形であること…
絶対音感は 「音名(固定ド)の『ド』を『ド』」 と感じます。一方、相対音感は 「階名(移動ド)の『ド』を『ド』」 と感じます。 本ブログでは何度も取り上げていますが、この変化は絶対音感訓練時における 「移調のミス」 と呼ばれる現象に顕著に現れます…
ところで、 「相対音感は音程」 と最初に言い出したのは一体、誰でしょうか? 私はこの説明を見る度に、 「最初に言い出したヤツ、ちょっと出て来い」 と言いたくなってしまうのですが、それは冗談として・・・ 人間は音を 「ゲシュタルト(まとまり)」 と…
どうも私には 「○○が分かる(できる)から相対音感がある」 と言った理屈、あるいは逆に 「相対音感は○○が分かる(できる)能力」 と言った定義は、相対音感と言うものが 「ブラックボックス」 に見えてしまい、その実態が全く感じられません。 もちろん、そ…
先日、絶対音感保持者の方から 「絶対音感と相対音感は共存できる」 と言う反論を受けたのですが、この辺りの話は前提条件、例えば 「絶対音感と相対音感をどう定義するか?」 等で考え方も変わってくるため、相手の意図を汲み取る努力をしない限り話が噛み…
元々「長旋法/短旋法」と訳されていたものが、 「長調/短調」 と呼ばれるようになったのも、また「調」、あるいは「調性格」の意味合いで、 「調性」 と言う言葉が使われてしまうのも、2次元(相対音感)の世界の概念を1次元(絶対音感)の世界から眺め…
絶対音感保持者の中には、 「どうして移動ドなんて概念が存在するのか?」「移動ドの存在理由が分からない」 と言う人もいるかも知れませんが、そもそも1次元(絶対音感)の世界には見ての通り、 「『移動ド』と言う概念自体が存在しません。」 もっと言え…
みなさんは、 「調性(Key)」 のような表記を見掛けたことがありませんか? このようにしばしば調の意味合いで調性と言う言葉が使われることがありますが、 「調(Key)」と「調性(Tonality)」 もまた、 「異なる次元上の概念」 になります。 調性は例えば…
「転調」もまた厳密には、 ・調 が変わる「転調」・旋法が変わる「転旋」 に分類され、その意味も効果も大きく変わってきます。 2次元(相対音感)の世界では、 ・「転調」は 調 次元(縦軸)の変化・「転旋」は移動ド次元(横軸)の変化 (クロマの組み合…
「調(Key)」と言えば、 「長調/短調」 を思い浮かべる人も多いかも知れませんが、実は元来、長調/短調は 「調ではありません。」 長調/短調は英語で元々、 「メジャーモード/マイナーモード」 モードは「旋法」の意で、昔は 「長旋法/短旋法」 と訳さ…
おそらく、(絶対音感を持たない)多くの人は、 「その曲が何調か?を判別できるようになりたい」 と思っているのではないでしょうか? では、ある曲を聴いているとき、 「その曲はCメジャー(ハ長調)ですよ」 と言う情報を与えられたとして、情報を与えら…
相対音感は「調のピント自動調節機能」によって、 「どの音が調(調性上の主音)か?」 を判別することはできますが、 「その調が何の音か?」 つまり、 「何調か?」 は残念ながら分かりません。 しかし、音楽を聴く上でその曲が何調であるかは、 「実は大…
移調(其の八)、フラベリック錠(其の十一)、そして加齢(其の十二)のケース、いずれも共通して言えることは、 「相対音感ではクロマ感覚(横軸)が一切変化しないのに対し、 絶対音感ではクロマ感覚が変化する」 と言うことです。 2次元(相対音感)の…
「絶対音感は一度身に付ければ一生失われることはない」 と言われていますが、実際には 「加齢と共に音が高く聴こえるようになった」 と言う報告もあるようです。 「音が高く聴こえる」と言う症状は前回のフラベリック錠の副作用とは逆なので、周波数比を捉…
「風邪薬のフラベリック錠の副作用で 音が半音低く聴こえるようになった」 絶対音感関連の話題としてはおなじみなのでご存知のみなさんも多いかと思いますが、今回はこの現象を例によって、 「1次元の絶対音感」と「2次元の相対音感」 に当てはめて考えて…
科学雑誌『Newton』の今月号(2015/4)にて、 「絶対音感と脳の記憶にかかわる部位との関連性」 が記事として取り上げられていました。 ※出典はコチラの記事のようです。『The Journal of Neuroscience』(January 2015/1/7)「Bridging the Gap between Per…
前回の移調は「半音単位の移調」を想定していましたが、今回は 「半音よりも細かい単位の移調」 を考えてみたいと思います。 移調と言うよりは、 「基準ピッチの変更」 と考えたほうが分かりやすいかも知れません。 では、具体例として以前取り上げました 「…
では、「其の四」のおさらいも兼ねて、移調と言う操作を 「2次元の相対音感」と「1次元の絶対音感」 に当てはめて考えてみましょう。 まず、2次元の相対音感では移調、つまり調の変化は調のピント自動調節機能によって 「縦軸のシフト」 になるため、 「…
絶対音感訓練の中で「移調のミス」によって、 「固定ドの『ド』を『ド』と答えていた子が 移動ドの『ド』を『ド』と答えるようになる」 この不思議な現象をみなさんはどう考えますか? 固定ドと移動ドとでは全く次元が異なり、例えば固定ドの「ド」を固定ド…
本ブログではおなじみですが、絶対音感訓練の中では「悪い傾向」とみなされている 「移調のミス」 と呼ばれる現象があります。 移調のミスとは、簡単に言えば聴音で 「固定ドの『ド』を『ド』と答えていた子が 移動ドの『ド』を『ド』と答えるようになる」 …
移調した曲が同じ曲として認識される現象を人間が1次元ではなく、 「2次元のシステムで音を捉えている」 と考えた場合、「大きな疑問」が1つ残ります。 それは、(周波数)比を取るためにはまず比の基準、つまり、 「縦軸(調)の決定」 が必要だと言うこ…
ある曲を移調した場合、多くの人は特に専門的な教育を受けていなくても、当たり前のようにそれが同じ曲として認識されます。 しかし、移調した曲は物理現象として見れば周波数が異なる明らかに別の曲です。 にもかかわらず同じ曲として認識されるのは、人間…
本ブログではおなじみですが、そもそも「ドレミファソラシド」は 「音律」と呼ばれる「周波数比」 が基盤になっています。 ここで重要なポイントは、音律はあくまでも 「比」 であって、決して 「周波数そのものではない」 と言うことです。 音律上、「ド」…