では、みなさんに質問です。
「次の2つの図形は同じ図形ですか?」
図形Bは図形Aを45度回転したものですが、
おそらく多くの人はそのような情報を与えられなくても、
またわざわざディスプレイを45度傾けたりしなくても
2つの図形が同じ図形であることが分かると思います。
このように人間は頭の中で図形を回転させることで、
2つの図形が同じかどうかを判別することができます。
これを、「心的回転」と言います。
「ゲシュタルトの基準(観測点)の違い」
と言いましたが、
移調と言う操作を図形の回転に例えると、
図形(ゲシュタルト)の観測点が
「絶対音感は常に固定」
されているのに対し、
「相対音感は図形の回転に合わせて移動」
すると私は考えています。
結果的に観測点が固定された絶対音感では座標が
「絶対座標、つまり音名(固定ド)に対応した概念」
で表されるのに対し、観測点が移動する相対音感では
「相対座標、つまり階名(移動ド)に対応した概念」
で表されることになります。
しかし、観測点の違いこそあれ、
基本的には「同じ図形」を見ているので、
同じような情報を取り出したり、
同じような感覚を共有できたとしても
何ら不思議ではありません。
また、
「絶対音感は移調に弱い」
と言われる原因は移調の際、
相対音感では観測点が移動するため
心的回転が発生しないのに対し、
絶対音感では観測点が固定されているため、
「心的回転が発生」
するからだと私は考えています。
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