前回、前々回のブログ記事、
「たとえばこんな相対音感テスト~音律当て(長三和音)」
「たとえばこんな相対音感テスト~音律当て(長音階)」
の解説編です。
相対音感テストと聞いて、
「音程や階名/移動ドを言い当てる」
ような「半音単位の違い」を弁別するテストを
思い浮かべる人も多いかも知れませんが、
上記テストは音律の違いによる、
「数centの違い(1centは半音の1/100)」
を弁別するテストになります。
では3つの音律を実際に聴き比べてみましょう。
まずは長三和音から。
純正律では、
「うなり(にごり)のない澄んだ響き」
になるのに対し、ピタゴラス音律や十二平均律では
うなりが生じるのが分かります。
ちなみに各長三和音の構成音の周波数比は、
・純正律 =4:5:6(整数比)
・ピタゴラス音律≒4:5.0625:6
・十二平均律 ≒4:5.0397:5.9932
になります。
次に3つの音律を長音階で聴き比べてみましょう。
おそらく長三和音では音律を聴き分けられた人でも、
こちらの長音階では聴き分けられなかった人も
いるのではないでしょうか?
これは長三和音では音が同時に提示されるため
音のうなりによって聴き分けられるのに対し、
長音階では音が1音1音別々に提示されるため、
「うなりが生じない(うなりで判別できない)」
からだと考えられます(和声的音程と旋律的音程)。
なお、実際のテスト問題は他の相対音感テスト同様
ピッチをA=440Hzから50centずらしてありますが、
これは絶対音感保持者に対する軽い嫌がらせ…
ではなく、絶対音感で回答する余地をできるだけ
排除するためです。
(了)