移調(其の八)、フラベリック錠(其の十一)、
そして加齢(其の十二)のケース、
いずれも共通して言えることは、
「相対音感ではクロマ感覚(横軸)が一切変化しないのに対し、
絶対音感ではクロマ感覚が変化する」
と言うことです。
2次元(相対音感)の世界では、
例えば「ドレミファソラシド」と言う
「クロマ感覚(周波数比)を保ったまま、
ハイト感覚(高さ)を上下することができます。」
私はこれを、
「トーン・クロマ次元がトーン・ハイト次元から
完全に独立している」
と表現しています。
一方、1次元(絶対音感)の世界では、
「トーン・クロマ次元がトーン・ハイト次元から
独立していない」
言い換えれば、
「トーン・クロマ次元がトーン・ハイト次元に
紐付いている」
ため、
「クロマ感覚を保ったまま
ハイト感覚を上下することはできない」
(だからこそ固定ドで聴こえる)と考えられます。
特に絶対音感保持者がフラベリック錠の副作用や
加齢によるピッチのずれに違和感を感じるのは、
このトーン・クロマ次元とトーン・ハイト次元との
「紐付けがずれてしまう」
点に原因があると私は考えています。
また、そのずれ具合には個人差があると思いますが、
おそらくは都合よくキッチリ半音単位にずれるのではなく、
例えば固定ドの「ド」で聴こえていた音が
「『シ』と『シ♭』の間の音に聴こえる」
と言った症状も決して珍しくないのではないでしょうか?
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