の解説編です。
譜例1は5番目の音、つまり「ドレミファソ~」の
「ソ」の音をわざと少し外してあります。
もし譜例1を聴いても全く違和感がないと言う人は
音痴…いや、とても斬新な耳の持ち主なのでしょう。
では、譜例2はどうでしょうか?
おそらく1音目の音、つまり「ド」の音が
外れていると感じたのではないでしょうか?
今回はこの何の変哲もない、
「1音目の音が外れている」
と感じる現象に着目してみたいと思います。
もし相対音感が、
「1音目に鳴った音」
を基準にしているのであれば譜例2の場合、
1音目の「ド」の音ではなく2音目以降の、
「レミファソラシド」
の方が外れていると感じるはずです。
また、相対音感について、
と言う説明をときどき見掛けることがありますが、
もし相対音感が本当に直前の音を基準にしている、
言い換えれば直前の音を正としているのであれば、
先に鳴った音が外れていると感じることはなく、
「必ず後に鳴った音が外れていると感じる」
つまり、1音目の音が外れていると感じることは
ないはずです。
では、次に譜例3を聴いてみましょう。
譜例2と譜例3の1音目は、
「全く同じ周波数の音」
ですが、譜例2では外れていると感じるのに対し、
譜例3では外れていると感じません。
つまり、相対音感の世界では、
「個々の音が特定の周波数と合致しているか?」
は問題ではなく、
「全体の周波数比が音律と合致しているか?」
が重要になってきます。だから、譜例3はピッチを
A=440Hzから50cent(1/4音)ずらしてありますが、
全体の周波数比は音律と合致しているため、
相対音感では音が外れていると感じません。
譜例3を聴いたとき、
「音が外れていると感じない耳と、
全体的にピッチがずれていて気持ち悪いと感じる耳」
みなさんはどちらの耳が欲しいですか?