絶対音感と相対音感が共存可能だと仮定すると、
実はいくつかの実現パターンが考えられます。
1つ目は、
「固定された音名のものさしと伸縮する階名のものさし、
この2つのものさしが完全に独立した仕組み、次元」
具体的には例えば仮説①のように、
「音名のものさしは耳の蝸牛内の基底膜の振動位置に対応、
階名のものさしは周波数成分の分析結果sin ntのnに対応」
つまり、
「相対音感(で行われている周波数成分の分析)には
何ら影響を与えない形で絶対音感が実現」
されているパターンです。
この場合、絶対音感の有無で周波数成分の分析結果、
sin ntのnが変わることはありません。
また、2つのものさしは完全に独立しているので、
2つの音感を同時発動することも可能だと考えれます。
ただし、仮説①はオクターブエラーの説明が付かない等
いくつか疑問が残ります。
2つ目はあくまでもものさしは1つで、
「ものさし(≒基本周期)の固定⇔伸縮の切り替え」
つまり、仮説③のように
されているパターンです。
この場合も基本周期の切り替えさえ適切に行われれば、
周波数成分の分析結果が変わることはありませんが、
「基本周期が切り替わるトリガーは何か?
あるいは意識的な切り替えが可能か?」
と言った疑問が残ります。
また、ものさしが1つなので同時発動はできません。
3つ目は2つ目と同様ものさしは1つですが、
ものさし(≒基本周期)は固定されたまま伸縮せず、
「固定されたものさしの上で音程計算や
階名のシラブルを論理的にスライドする」
ことを擬似的に相対音感と称しているパターンです。
この場合、実際には基本周期が伸縮していないため、
移調すると、
「周波数成分の分析結果sin ntのnが変わってしまう」
ことになります。
ただし、分析結果が変わると言ってもsin ntのn、
つまり各構成要素が一定間隔ずつずれるだけなので、
□と△のように全く別の曲に聴こえてしまう訳ではなく、
例えば以前にも取り上げた
あるいは、
程度の違いに聴こえるのでは?と私は考えています。
これが□と◇のようなごく単純なメロディではなく、
もう少し複雑なメロディ(図形)になったとき、
移調条件下でのメロディ比較を誤答したとしても
何ら不思議ではないと思いませんか?
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