この問題に対しては、
「別々の能力だから共存できる」
と言う意見、反対に
「排他的な能力だから共存できない」
と言う意見、どちらも見掛けたことがありますが、
絶対音感と言うものが、また相対音感と言うものが
科学的には解明されていない現時点では
どちらが正しいと言うよりも、
「そう結論が出るような定義、仮説、前提で話が進められている」
と考えるのが良いのではないでしょうか?
私がこの問題について考えるときのポイントは2つ、
1つは絶対音感が相対音感、つまり人間が本来持つ
音楽的に音を認知する仕組みからは完全に独立した仕組み、感覚で、
あるいは相対音感には何ら影響を与えない形で実現されているか?
具体的には合成波から取り出された個々の周波数成分から直接
(周波数成分を分析する前に)音名の判別が行われているか?
つまり、
「周波数成分の分析を介さずに実現されているか?」
です。
もし絶対音感が相対音感からは完全に独立した仕組み、感覚で
実現されているのであれば共存できることになります。
もう1つのポイントは2つの音感が共存できるとした場合、
です。
これについては、
「マルチタスク」
と言う表現を見掛けたこともあれば、
「切り替わる」
と言う表現を見掛けたこともありますが、
この辺りもやはり定義、仮説、前提によって
話が変わってくるのではないでしょうか?
次回からはこの2つのポイントを軸に考え得る
「(絶対音感の実現方法に関する)3通りの仮説」
について順に検証していきたいと思います。
なお、ここでは絶対音感の能力を分かりやすく単純に
「音名の判別」
に絞って考えることにします。
関連記事
(其の十一) (其の十二) (其の十三) (其の十四) (其の十五)