フーリエ変換の基本は一定の周期を持った
「周期関数」
ですが、一定の周期を持つと言うことは、
「同じ音の繰り返し」
と言うことです。
一方、音楽は時間の経過と共に使われる音が変化する、
つまり一定の周期を持たない
「非周期関数」
で表されます。
では、一定の周期を持たない音楽の場合、
「何を基本周期として考えたらよいのでしょうか?」
例えば「ドレミ」と言うメロディは極端に見れば、
「ド」が鳴っている間、「レ」が鳴っている間、
「ミ」が鳴っている間、つまり同じ音が鳴っている間を
それぞれ別々の周期関数と見なすことはできますが、
その場合個々の周期関数の基本周期は当然異なります。
曲を通して「ド」は「ド」、「レ」は「レ」のように
一貫して同じ高さの音が同じ音と認識されるためには、
「基本周期が同じ、つまり基準が1つ」
である必要があります。
結論から言ってしまえば、このとき
「基本周期が調、つまり調性上の主音に設定される」
と私は考えています。
では、基本周期を調に合わせたらどうなるでしょうか?
①周波数成分の分析結果(sin ntのn、主音との周波数比)は
絶対音高を表す「音名/固定ド」ではなく、相対音高を表す
「階名/移動ドの概念」
に対応します。
②移調しても周波数成分の分析結果は変わらない、
いわゆる、
「移調のもとでの等価性」
が実現されます。
③移調は「ド」を「レ」にずらすと言った操作ではなく、
「伸縮した基本周期に合わせて、
つまり、調に合わせて周波数成分を逆フーリエ変換」
することで実現されます。
本来、「逆フーリエ変換」は周波数成分を縦に重ねますが、
ここでは時間を跨いで周波数成分を横に並べるイメージです。
④転調、つまり調が変われば当然基本周期も変わるため、
聴音で迷子になります。
⑤無調、つまり調が存在しなければ基本周期が定まらず、
周波数成分の分析ができないため聴音できません。
これらはどれも
「相対音感の特徴」
によく似ていませんか?
ここで重要なポイント、それは
「基本周期が定まらなければ、
周波数成分の分析はできない」
と言うことです。
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