人間の心理的な感覚量は、
「対数に比例」
して知覚されます。
これを
と言います。
例えばテレビの音量の目盛りが、
「5→10に変化した場合と50→55に変化した場合」
どちらも目盛りの変化量で言えば同じ「5」ですが、
おそらく体感的な変化量としては前者の方が大きく、
後者ではそれほど音量の変化を感じないのではないでしょうか?
5→10の変化は比で考えれば2倍になりますが、
50の目盛りからこれと同様の変化量を感じるには
同じ比率、つまり50の2倍である
「50→100の変化が必要」
と言うことになります。
これと同じことが
「音高(周波数)」
にも当てはまります。
例えばAさんは
「440Hzと442Hzの音をかろうじて聴き分ける」
ことができるとします。
このとき、Aさんは
「2Hzの違いを聴き分けることができるから、
880Hzと882Hzの音も聴き分けることができる」
と考えてしまう人もいるかも知れませんが、
それは大きな間違いです。
この場合も対数に比例するので、
「440Hzと442Hzの違いは880Hzと884Hzの違い」
に相当することになります。
ヴェーバー‐フェヒナーの法則はあくまでも感覚量、
つまり定量的な感覚に対しての法則です。
そして、実際多くの人は音高(周波数)を
「定量的な感覚(トーン・ハイト)」
として捉えようとしているのではないでしょうか?
しかし、周波数がおもしろいのは比をとったとき、
その比を「量」として見た感覚と同時に「質」、
つまり、
「定性的な感覚(トーン・クロマ)」
が生じる点にあると私は考えています。
関連記事
(其の十一) (其の十二) (其の十三) (其の十四) (其の十五)