例えば音痴な人が『笑点のテーマ』を口ずさんだとします。
音痴の度合いにもよりますが、
おそらくそれを聴いた多くの人は
『笑点のテーマ』と判断するのではないでしょうか?
また、長調の『笑点のテーマ』を短調に編曲した場合、
もちろん曲の雰囲気はガラッ変わりますが、
『笑点のテーマ』と判断するのではないでしょうか?
さらに勘のいい人は、
「たんたかたかたかっ、たんったんっ」
のようなリズムを聴いただけでも
『笑点のテーマ』と判断するのではないでしょうか?
ちなみに前回の写真の例で言えば、
「リズム」は「輪郭」に相当する判断基準に
例えられるのではないでしょうか?
こうして考えると、
移調された曲が同じ曲だと分かったからと言って、
「イコール相対音感がある」
とは必ずしも言えないようです。
音楽的に「同じ」と言えば、それは
「移調のもとでの等価性」
言い換えれば、
「階名(移動ド)が完全に一致」
することを意味しますが、
「移調のもとでの等価性が保たれているから等価」
なのではなく、
「人間がそれを実際に等価と感じるような仕組み、
つまり相対音感で音を認知しているからこそ等価になる」
と私は考えています。
絶対音感神話: 科学で解き明かすほんとうの姿 (DOJIN選書)
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ところで、宮崎謙一教授の『絶対音感神話』において、
移調条件下でのメロディ比較における正答率が
非絶対音感群と比べ、
「絶対音感群のほうが低い」
言い換えれば、絶対音感群のほうが
「移調のもとでの等価性の判別が不正確」
と言う実験結果が出ていますが、
「みなさんはこの結果をどう考察しますか?」
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