機械的に「ド」の音を判別させようとしたとき、
もし特定の音の高さ(周波数)に
「『ド』と言う性質が存在する」
のであれば、その周波数を「ド」と判定するだけで、
何も難しいことはないはずです。
しかし、実際には「ド」が指し示す周波数は
ピッチによって変わる、つまり周波数自体に
「『ド』と言う性質は存在しない」
ことになります。
「聴音の原理は割り算」と考えると、何を「ド」と、
つまり、
「何を除数(単位)とするか?」
は結局のところ、
「聴き手に依存」
することで、それは固定ドも移動ドも変わりません。
そういう意味では一口に絶対音感と言っても、
・A=440Hzの音名「C」 を除数とする人
・A=442Hzの音名「C」 を除数とする人
・A=440Hzの音名「B♭」を除数とする人
等々がいて、同じ曲を聴いてもそれぞれ聴こえ方は
違ってくると考えられます。
この聴こえ方の違いはフラベリック錠の副作用、
あるいは加齢で音感が狂った経験のある人であれば
身をもって体感しているのではないでしょうか?
では、
「どの絶対音感が正しいと言えるでしょうか?」
音自体に「ドレミ」に対応した物理的な性質があって、
訓練によってその性質を認識できるようになると
思っている人もいるかも知れませんが、
「『ドレミ』は物理量ではなく、心理量」
で、
「その心理量の基準となる単位を何にするか?」
あるいは、
「その基準を固定するか?変動するか?」
は、
「聴き手に依存」
しているのではないでしょうか?
関連記事
(其の十一) (其の十二) (其の十三) (其の十四) (其の十五)