以前、
「最近、A=442Hzのピッチにも慣れてきたから、
相対音感が身に付いてきたかも…」
と言った内容の書き込みを見掛けたのですが、
そもそも相対音感が身に付くことで、
「特定のピッチに慣れる」
と言うことはあるのでしょうか?
基本周波数をsin t、その周波数成分をsin ntとすると、
を表す、つまり周波数成分の周波数は、
「周波数成分の周波数=基本周波数×n」
で求めることができます。
A=440Hzと442Hzでは約8centの違いになりますが、
例えば左辺の周波数成分の周波数を8cent上げるには、
①右辺の基本周波数を8cent上げる(442/440倍する)
②右辺の振動比nを8cent上げる
の2通りの方法が考えれます。
①も②も「表面的には同じ結果」が得られますが、
その「プロセス」は異なります。では、
「正しい調性が生じるのは、
どちらのプロセスでしょうか?」
相対音感は調の違いもピッチの違いも全て、
「基本周波数に吸収される」①
結果的に相対音感ではnが移動ドに対応し、
移調、あるいはピッチ変更してもnの値、
つまり移動ドが変わることはありません。
ピッチの違いが基本周波数に吸収されると言うことは、
「ピッチの違いがnのズレとして認識されない」
nのズレとして認識されないと言うことは、
簡単に言えば、
「ズレていると感じない」
と言うことです。
一方、絶対音感は、
「基本周波数が固定されることで実現されている」
と仮定すると、調の違いもピッチの違いも全て、
「nに吸収される」②
結果的に絶対音感ではnが固定ドに対応し、
移調、あるいはピッチ変更するとnの値、
つまり固定ドが変わることになります。
ピッチの違いがnに吸収されると言うことは、
「ピッチの違いがnのズレとして認識される」
そしてこのnのズレがいわゆる、
「気持ち悪い」
と言う感覚を引き起こしていると考えられます。
先の書き込みの人がA=440Hzの絶対音感とすると、
nの8centのズレを、
「許容、あるいは補正できるようになった」
可能性も考えられるのではないでしょうか?
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