絶対音感、相対音感にまつわるウソ、ホント(其の十一)
「絶対音感は大人になってからでは身に付かないが、
相対音感は大人になってからでも身に付く」
これも「半ば定説」のように言われていますが、
やはりこの説に対しても私は疑いを持っています。
と言っても、残念ながら
「絶対音感は大人になってからでも身に付く」
と言うことではありません。
そもそも、
で、
と言う説に従えば、絶対音感は「身に付けるもの」ではなく、
「保持するもの」
だと考えられます。
そして、一般的には
「絶対音感には臨界期がある」
と言われていますが、
実は臨界期があるのは絶対音感にではなく、
前回の記事にも登場した絶対音感訓練時の
「移調のミスと呼ばれる現象にあるのでは?」
と私は疑いを持っています。
その理由は簡単です。
絶対音感保持者が大人になってから絶対音感がなくなった、
あるいは弱くなったと言う話を聞いたことがありますが、
おそらくそれは「加齢と共にピッチが狂ってきた」か、
「ラベリングが薄れてきた」と言うことではないでしょうか?
しかし、
「大人になってから移調のミスを起こすようになった」
と言う話は聞いたことがありません。
本来人間の成長過程で自然と発現する
相対的に音を捉える能力を「移調のミス」と称し、
「切り捨てられてしまった事実」
が相対音感と言う言葉にすり替えられ、
なかったことにされてしまっていないでしょうか?
しかし、ここで相対音感と称しているのは、
実はそれは(相対)音感ではなく、
訓練によって身に付いた単なる
「絶対音感上で相対的に処理する能力」
ではないか?と言う疑いについては
前回の記事に書いた通りです。
(其の十一) (まとめ)