固定ド(1次元)の世界には、
オクターブを考慮しなければ当然、
「ド」は1つしか存在しません。
「ド」と言えば2つ並んだ黒鍵の左下の白鍵
を常に指し、調によって「ド」の位置が変わることはありません。
同様に五線譜上も調によって「ド」の位置が変わることはありません。
(ただし、音部記号が変われば「ド」の位置は変わります。)
一方、移動ド(2次元)の世界には、
「ド」は1つではなく、調の数だけ存在します。
例えばピアノなら、
ハ長調なら2つ並んだ黒鍵の左下の白鍵
へ長調なら3つ並んだ黒鍵の左下の白鍵
ト長調なら・・・
と言った具合に調によって「ド」の位置が変わります。
同様に五線譜上も調によって「ド」の位置が変わります。
つまり楽器を演奏する場合、例えば「ド」と言えば
固定ドの世界では何調でも押さえ方は変わりませんが、
移動ドの世界では調によって押さえ方が変わってしまいます。
また五線譜を読む場合、同じ位置の音符は
固定ドの世界では何調でも読み方は変わりませんが、
移動ドの世界では調によって読み方が変わってしまいます。
いずれのケースも固定ドの方が単純で分かりやすく、
それに比べ、
「移動ドは考え方が複雑で面倒」
であることは明らかです。
では、
「どうしてそんな面倒なシステムが存在するのでしょうか?」
もしかしたら、みなさん(特に絶対音感保持者)の中には、
「移動ドは考え方や思想、あるいは単なる理論上の概念」
だと思っている人もいるかも知れませんが、
実は移動ド(2次元)のシステム自体が
「人間が音を認知する仕組みそのもの」
で、移動ドは赤や青と言った色と同じように本来、
「人間の感覚そのもの」
だからです。
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