「自分には音感がない」
と思っている人も、実は無意識下では
音に対してかなり高度で複雑な認知処理が
行われていると考えられます。
移調した曲を同じ曲と認識できるのも、
移調した伴奏に合わせて歌うことができるのも
その証拠と言えるでしょう。
ただ、ここで多くの人は音が高い低いと言う感覚、
つまり周波数に対応したトーン・ハイトを頼りに
音を判別しようとしてしまうために、
「自分には音感がない」
と思い込んでしまっているのかも知れません。
でも取り上げましたが、
「相対音感はトーン・ハイトで判別する」
と言うのは間違いです。
あくまでも無意識下で認知されているのは
周波数ではなく周波数比、つまり
「トーン・クロマ」
です(「クロマ」とは?)。
そして、周波数比を捉えるためには
周波数比を捉えるための基準が定まった状態、つまり
「耳に調が確立」
した状態で聴音する必要があります。
耳に調を確立するには
「調性を意識した音の連なり」
で聴音する必要があります。
絶対音感テストのように調性を意識していない、
ただランダムな音の羅列では耳に調は確立しません。
耳に調が確立していない状態で
トーン・ハイトだけを頼りにしても、
聴音できないのは当然のことです。
(了)