「実は絶対音感保持者は頭の中に単音(単独)で
階名の『ド』をイメージすることができないのでは?」
と私が予想する理由は何でしょうか?
「其の四」の絶対音感訓練の子供の例からも分かるように、
絶対音感はダイナミックな音感の発現が
抑制されることで実現、つまり
「階名(移動ド)の『ド』を『ド』と感じる感覚」
を持ち合わせていないと考えられます。
おそらく絶対音感保持者には
全ての調において階名の「ド」が持つ
普遍的な固有の響き、感覚と言うものが存在する訳ではなく、
音の流れの中で、例えばハ長調なら音名「C」の音、
ト長調なら音名「G」の音が調性上の主音、
つまり階名の「ド」であることが
「論理的、経験的に判別されているのでは?」
と私は考えています(それを「相対音感」と称している)。
しかし、それはダイナミックな音感が感覚として
捉えている階名とは本質的に異なります。
そもそも、周波数比を捉える基準が異なる時点で、
階名と言う概念そのものが全く別のものに
なってしまうのは当然のことです。
ここで仮に絶対音感を「音名を判別する能力」、
相対音感を「階名を判別する能力」と単純化し、
を図に表してみると、
このように絶対音感と相対音感が「並列」に
並んでいるのではなく、
このように「直列」に並んでいると考えられます。
つまり、絶対音感上では階名と言う概念は
音名と言う概念があって初めて存在し得る、
音名を「1次的な情報」とするなら、
階名は音名から派生した
「2次的な情報に過ぎないのでは?」
と私は考えています。
「絶対音感は音名のクロマを聴き分ける」
と言われていますが、実際には
「音名にクロマは存在しない」
と私は考えています(詳細は次の記事を参照してください)。
スタティックな音感上では周波数比を捉えるための基準が
特定のピッチに固定されたまま動かすことができないため、
周波数比自体も常に特定のピッチを指すことになります。
結果的に周波数比が生み出す響き、感覚(つまりクロマ)は
ダイナミックな音感上では「階名」に対応するのに対し、
スタティックな音感上では「音名」に対応することになります。
そのために絶対音感保持者は音名にクロマが存在するように
錯覚しているだけだと私は考えています。
続「絶対音感は左脳が発達」のウソ