「絶対音感」「左脳」「2倍」
と言ったキーワードをネットで検索すれば大量のサイトがヒットします。
これは『絶対音感』(最相葉月さん著)でも取り上げられていますが、
科学誌「サイエンス」(1995年2月3日)に掲載された記事、
「In Vivo Evidence of Structural Brain Asymmetry in Musicians」
が根拠になっているようです。
しかし、この記事に改めて目を通してみると、
「絶対音感は左脳が発達していると主張している人達は
果たして本当にこの記事を読んているのか?」
と言う疑問が生じます。と言うのは、この記事は
「絶対音感者と非絶対音感者の脳(正確には側頭平面)の
非対称性(つまり、左右差)」
を比較しているのであって、決して
を比較している訳ではありません。つまり、
かどうかについては一切触れていません。
「右脳に比べて左脳が大きい」と言うことは、
裏を返せば「左脳に比べて右脳が小さい」と言うことです。
(左脳が大きくなくても、右脳が小さければ当然左右差は大きくなります)
実際、この記事の検証データを見たときに何よりもまず目に付くのは
絶対音感者の「脳の左右差」や「左脳の大きさ」ではなく、
「絶対音感者の右脳が明らかに小さいこと」
です(左脳に関しては絶対音感者がほんのわずかに大きい)。
「絶対音感の音楽家」の右脳は「非絶対音感の音楽家」だけでなく、
「非絶対音感の非音楽家」と比較しても明らかに小さく、
この検証データから絶対音感者の脳の非対称性が左脳の発達によって起こる
と言う考え方自体、非常に無理があるように私には感じられます。
実際のデータはこちらの記事を参照してください。
実はこうした事実は私が本を書き上げた後の調査で分かったことで、
本書では取り上げていません。ただ本書の中でも触れていますが、
「絶対音感は脳の発達を『抑制』することで実現しているのでは?」
と私は疑いを持っているので、
この件については引き続き調査したいと思います。
「絶対音感は左脳が発達」のウソ
続「絶対音感は左脳が発達」のウソ