「直前の音との音程」は情報としては、
「差分(階差)データ」
に該当します(周波数上は差ではなく、比ですが)。
差分データから元のデータを復元するには、
「1つずつ順を追って」
復元する必要があるため、
①差分データが途中で1つでも欠けていると、
それ以降のデータも全て復元できなくなる
②差分データが途中で1つでも誤っていると、
それ以降のデータも全て誤って復元される
と言ったデメリットがあります。
例えば元のデータを「1,2,4,7」とした場合…
・差分データ「1,1,2,3」→復元データ「1,2,4,7」
・差分データ「1,1,X,3」→復元データ「1,2,X,X」①
・差分データ「1,1,3,3」→復元データ「1,2,5,8」②
(差分データの1件目は初期値とする)
相対音感は、
「直前の音との音程を頼りに曲を記憶」
していると考えている人もいるかも知れませんが、
もし相対音感がそんな風に曲を記憶していたら、
①途中で音を1音でも忘れると、
それ以降の音も全て取れなくなる
②途中で音を半音高く取り間違えると、
それ以降の音も全て半音高く取り間違える
と言った現象が起きるはずです。
また、「直前の音との音程」は別の見方をすると、
「部分データ(全体ではなく、部分に着目している)」
と言えますが、部分からは当然全体を捉えられません。
「個々の音程を頼りに音と音の間を自在に移動」
しているのではなく、
「お釈迦様の手のひらの上の孫悟空」
ではありませんが、
「調性と言う地図の上のあらかじめ決められたルート」
を移動しているだけなのではないでしょうか?
(その移動距離を結果的に「音程」と呼んでいる)
だから、前回の読譜のテクニックの例もそうですが、
ただ単に部分に着目しているようでも実は、
「部分に着目しながら全体(調性)を補完する」
あるいは、
「全体(調性)を俯瞰しながら部分に着目する」
と言ったことが行われているのではないでしょうか?
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