コンパスの開き幅に適当な長さをセットして、
その長さを基準に何らかの作図をしたとします。
次に開き幅を2倍にして同じ手順で作図すると、
2倍の大きさの相似図形が出来上がります。
つまり、n倍の相似図形を描くには、
「最初に1回だけ開き幅をn倍すれば、
あとの手順は全く変わらない」
これは「其の八」で移調の操作を相対音感的に
プログラムで実現したとき、
「最初に1回だけ基本周波数をn倍すれば、
後続の処理は全く変わらない」
のとよく似ています。
(移調された曲は周波数上、相似の関係にある)
var 基本周波数; //書き換え可
var 移動ド = [ ]; //音律(周波数比)を格納
~
基本周波数 = 原曲キー * n;
for(i = 0; i < 移動ド.length; i++){
周波数[i] = 基本周波数 * 移動ド[i];
}
一方、ものさしを使ってn倍の相似図形を描くには、
「各辺に対して目盛りを毎回n倍する必要がある」
これは「其の九」で移調の操作を絶対音感的に
プログラムで実現したとき、
「ループの中で個々の音に対して毎回n倍する」
のとよく似ています。
const 基本周波数 = 音名「C」; //書き換え不可
var 固定ド = [ ]; //音律(周波数比)を格納
~
for(i = 0; i < 固定ド.length; i++){
周波数[i] = 基本周波数 * (固定ド[i] * n);
}
ものさしは当然あらかじめ目盛りが刻まれている、
つまり目盛り幅が固定されているので基本的に
「1つの単位」
しか測定できませんが、コンパスは開き幅が調節可能、
つまり、
「外部から基準さえもらえば、
cmでもインチでも尺でもどんな単位でも測定できる」
だから、例えばものさしの目盛りには存在しない
「πcm(パイは無理数)の線分をn倍する」
と言った操作もコンパスがあれば簡単に実現できます。
ちなみに絶対音感ネタで、
「最初に基準音を鳴らす意味が分からない」
と言う人がいますが、相対音感は基準音を
「基本周波数(コンパスの開き幅)」
として記憶するのに対し、絶対音感は単なる
「周波数成分(ものさしの測定値)の1つ」
としてしか聴いていないのではないでしょうか?
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