相対音感を使って音名/固定ドを特定するには、
「実現可能かどうか?」の問題は別にして、
理屈の上では2つのアプローチが考えられます。
1つは仮性絶対音感のように、
「基本周期(縦軸)を特定の周波数に固定する」…①
ことで、その周波数成分が音名に対応します。
一般的な相対音感のイメージで言えば、
移動ドの「ド」を意図的に記憶にある1音に
固定することで固定ドにしてしまう発想です。
もう1つは階名/移動ドで聴音できる人であれば、
「これは何調ですよ」
と言う情報さえ与えられれば音名を割り出せますが、
何らかの方法で、例えば潜在的絶対音感を使って、
つまり、
「基本周期の記憶を頼りに調(縦軸)を特定する」…②
ことができれば調と階名(縦軸と横軸)の
組み合わせから音名を特定できるはずです。
本来、相対音感は基本周期を調に合わせるため、
①では『よくある一般的な絶対音感テスト』のような
単音の聴音であれば調の持つ引力の影響を受けずに
音名を特定することができるかも知れませんが、
問題は『30秒でできる絶対音感テスト』のように、
「音をまとまり(ゲシュタルト)」
として捉えた場合です。
このとき、調の持つ引力に抗う(自然に逆らった)、
どちらかと言えば音楽的に音を聴くのではなく、
「音名を特定するのに特化した特殊な聴き方」
になるのでは?と私は想像しています。
それに対し、②はあくまでも調の持つ引力に従い、
基本周期を調に合わせた状態、つまり、
「相対音感には何ら影響を与えることなく」
音名の特定を実現できることになります。
「一半音なら58%、二半音なら70%」
の確率で原曲キーを判別できたと言う実験結果を
紹介しましたが、調を特定するには少なくとも
一半音以下の精度が必要になります。
58%と言う数字は半分の50%より僅かに高い程度で、
潜在的絶対音感の精度がそこまで高くないことが
窺えます。
しかし、もし潜在的絶対音感の精度を上げること、
そして調を特定することができるようになれば、
に成り得るかも知れません。
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