そんなイメージを持っている人もいるかも知れませんが、
もし実際に絶対音感がフーリエ解析に相当する
「周波数成分の分析を介して実現されている」
のであれば、音名を判別するためにはまず、
「基本周期を決定」
する必要があります。
つまり、
「いきなりポンと周波数成分の音名(周波数)が求まる」
のではなく、周波数成分はあくまでも基本周波数に対する比、
sin ntのnで表されることに、結果的に
「基本周期となる音名」と「周波数成分sin ntのn」
この
「2つの変動要素」
が求まる必要があります。
相対音感だけでは音名を判別できないのはこのうちの1つ、
周波数成分sin ntのnだけしか求まらないからです。
(nは音名/固定ドではなく、階名/移動ドの概念に対応)
相対音感では基本周期がどの音に設定されたかは分かりますが、
その音名(周波数)までは分かりません。
音楽的に言えば、
「どの音が調(調性上の主音)か?」
は分かりますが、その音名、つまり
「何調か?」
までは分かりません(n=1となる周波数成分が調になります)。
そこで、絶対音感が周波数成分を分析する際、
「何らかの形で基本周期となる音名を取得している」
と仮定してみましょう(仮説②)。
この仮説はあくまでも基本周期が定まることが前提なので、
相対音感と同様に無調では聴音できないことになります。
また、この仮説では確かに音名は求まりますが、
音名は基本周期と周波数成分sin ntのnから
「論理的に求まる」
つまり、同じ音名が求まる基本周期とnの組み合わせが
「何通りも存在する」
ことになるので、絶対音感保持者が口にする
「(音名/固定ドの)『ド』は『ド』」
と言う感覚は得られない可能性があります。
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