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「絶対音感の終焉」

のんびり気ままにゴーイングマイウェイ ~Blog by 川本零~

絶対音感と相対音感とフーリエ変換(其の十五)

音感の正体

 

絶対音感は合成波から取り出された個々の周波数成分から
直接(周波数成分を分析する前に)音名を判別している、
つまり、

「周波数成分の分析を介さずに実現されている」

と仮定してみましょう(仮説①)。

この段階ではまだ合成波から周波数成分を取り出すだけで
周波数成分同士の関係性については分析されておらず、
周波数の大小に対応した単純に音が高い低いと言う感覚、
いわゆる、

「トーン・ハイト」

で音名を判別することになると考えられますが、この考え方は

「オクターブ・エラー」

と呼ばれる現象の説明がつかないと言う話は以前にもしました。

 

また、

絶対音感は耳の蝸牛内の基底膜の
 (周波数に対応した)振動位置を記憶している※」

と言うさらに具体的な仮説を聞いたこともありますが、
よく考えてみればその仮説では音名を判別できるのは、

「実際に物理的に鳴った音、つまり基底膜が振動したとき」

に限定されてしまうのではないでしょうか?

それでは頭の中にイメージしたメロディを譜面に起こすことも、
譜面から頭の中に曲をイメージすることもできないはずです。

※蝸牛、基底膜等の耳の具体的な仕組みは、
 「其の二」で紹介している動画を参照してください。

 

そもそも音名は周波数を「比」で区切ったものです。
「音名を判別する」と言うことは即ち周波数の比を取る、
つまり個々の音ではなく、

「音の関係性で捉えている」

と考えるのが自然だと思いませんか?

実際、絶対音感訓練では単音→和音ではなく、

「和音→単音の順番、つまり和音の聴音」

から始めるそうです。

 

絶対音感 (新潮文庫)

絶対音感 (新潮文庫)

 

 

最相葉月さんの『絶対音感』にも和音を記憶することが
どうして絶対音感獲得につながるかは証明されていない
趣旨の記述がありましたが、単音で身に付かないものが和音、
つまり音の関係性を作り出すことで身に付くと言うことは
単純に考えて個々の音ではなく、音の関係性で捉えている、
つまり、

「周波数成分の分析を介して実現されている」

と考えるのがやはり自然だと思いませんか?

(次回に続く・・・)

 

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