カラオケで音域が合わない曲があった場合、
特別な音感訓練を受けたことがない人でも
キーの変更、つまり
「移調」
と言う操作をごく当たり前のように
行っているのではないでしょうか?
そのとき、例えば
「ド」を「レ」に、「レ」を「ミ」に・・・
と言った具合に、
「音をずらす」
と言う意識は全くないと思います。
と言うよりも、
「自分が今唄っている音が何の音か?」
すら意識していない人も多いのではないでしょうか?
しかし、移調された伴奏に合わせて、
もちろんそのキーでは初めて唄うにもかかわらず、
いきなりそのキーに合わせて唄うことができるのは
よく考えたらとても不思議なことだと思いませんか?
こうした芸当ができるのは、
2次元の相対音感では移調の際、
によって縦軸(調次元)だけがシフトし、
横軸(移動ド次元)、つまり
「クロマ感覚はシフトしない(変わらない)」
別の見方をすれば、
「周波数そのものではなく、周波数比を再現している」
ためだと考えられます。
しかし、相対音感でもクロマ感覚をシフトする
操作があります。
それは、「ハモリ」です。
みなさんの中には初めて聴いたメロディにも
3度や5度と言ったハーモニーを瞬時に付けられる、
つまり、
「クロマ感覚を瞬時にシフト」
できる人もいるのではないのでしょうか?
しかも、ハモリと言う操作は例えば3度上にハモる場合、
単純に全て等間隔(同音程)にシフトするのではなく、
スケールに合わせて長3度、短3度を使い分けると言う
複雑な操作を必要とします。
「心的回転が発生するのでは?」
と言う話をしましたが、この場合はクロマ感覚を
全て等間隔にシフトする操作になるので、
ハモリと比べれば単純な操作と言えるでしょう。
こうして考えると、
「絶対音感上で瞬時に移調できるようになったとしても、
何ら不思議ではない」
つまり、
「移調できるから相対音感がある」
と言う理屈は通らないのではないでしょうか?
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