前回の移調は「半音単位の移調」を想定していましたが、
今回は
「半音よりも細かい単位の移調」
を考えてみたいと思います。
移調と言うよりは、
「基準ピッチの変更」
と考えたほうが分かりやすいかも知れません。
では、具体例として以前取り上げました
で「1/6音上に移調」した場合を想定してみましょう。
まず、2次元の相対音感では1/6音単位であろうが
何音単位であろうが移調、つまり調の変化は
「全て縦軸に吸収」
されるため、この場合
「縦軸が1/6音上にシフト」
するだけで、やはり横軸(周波数比、つまりクロマ)は
一切変化しません。
一方、1次元の絶対音感では縦軸がないため、
(調のピント自動調節機能を持たないため)
調の変化を縦軸で吸収することができず、
「横軸が1/6音右にシフト」
することになります。
半音単位の移調であれば(厳密には平均律の場合)、
移調した音は横軸の目盛りにピッタリと合いますが、
半音よりも細かい単位で移調した場合、
「移調した音は横軸の目盛りに合わなくなります。」
絶対音感保持者の中には、
自分が記憶している基準ピッチから外れた音は
・ピッチがずれて聴こえる
・そのピッチのずれが気持ち悪く感じる
と言った症状を持つ人がいるようですが、
その原因は
「調のピント自動調節機能が働かないため
感覚上、正確な周波数比を捉えていない
(結果的に横軸の目盛りが合わなくなる)」
点にあると考えられます(だからこそ固定ドで聴こえる)。
こうして考えると、2次元(相対音感)のシステムが
縦軸をフレキシブルにシフトすることで、
「あらゆる基準ピッチに対応可能な柔軟なシステム」
を実現していることがよく分かります。
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