下表はメジャーモードの音律(純正律)です。
ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9/8 | 5/4 | 4/3 | 3/2 | 5/3 | 15/8 | 2 |
そして、下表は…
・マイナーモードの音律(純正律、上行)
・メジャーモードの音律の「ラ」を1として、
「ラ」から並べ替えたもの(下行)
とを比較したものです。
ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9/8 | 6/5 | 4/3(80/60) | 3/2 | 8/5 | 9/5 | 2 |
1 | 9/8 | 6/5 | 27/20(81/60) | 3/2 | 8/5 | 9/5 | 2 |
実はご覧の通り両者は一致しない、具体的には…
「『レ』が81/80倍高い」
音になってしまいます。
つまり、メジャーモード「ドレミファ~」の
音程関係を保ったまま「ラシドレ~」としても、
「マイナーモードの音程関係にはならない」
ことになります。
そもそも音律で規定しているのはあくまでも、
「調性上の主音を基準とした比」
であって、そこで勝手に
「並べ替える」
などと言う操作をしてしまったら、
合わなくなるのも当然のことです。
東川清一先生の
『退け、暗き影「固定ド」よ!』
によるとトニックソルファ法のジョン・カーウェインは
この差を重視して、
「この短調のre(レ)をrah(ラ)」
と呼ぶように提唱しているそうですが、
こうした特殊な読み方が発生してしまうのは、
結局のところ、
「音律と符号が一致していない」
からです。ちなみに、
「旋律的短音階のfa#をfe(フィ)ではなくbay(ベイ)」
と呼ぶのも同じ原因です。
もちろん音律と符号が一致していれば、
つまりマイナーモードの主音を「ド」とすれば、
メジャー/マイナーの共通部分の音程関係は
下表のように全て一致します。
ド | レ | ミ♭ | ミ | ファ | ソ | ラ♭ | ラ | シ♭ | シ | ド |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9/8 | - | 5/4 | 4/3 | 3/2 | - | 5/3 | - | 15/8 | 2 |
1 | 9/8 | 6/5 | - | 4/3 | 3/2 | 8/5 | - | 9/5 | - | 2 |
つまり、特殊な読み方が発生することはありません。
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