前回とはまた違うケースをもう1つ取り上げましょう。
「原曲Keyには意味がある」
と主張する人がいますが、いわゆる
「調性格」
の話になります。
なお、調性格については音律の違いや楽器の特性等、
「それが何に起因するか?」
と言う議論もありますが、ここでは平均律上で
「単純にピッチの違いから生じるもの」
として話を進めていきます。
では、ここで基準ピッチA=415Hzの時代に
「ハ長調(C Major)」
で作曲された曲があったと仮定します。
そして、その当時の演奏が録音されていたとします。
これを絶対音感保持者Bさん(基準ピッチA=415Hz)が聴けば、
「ハ長調(C Major)」
に聴こえ、ハ長調の調性格を感じ取ります。
しかし、絶対音感保持者Aさん(基準ピッチA=440Hz)が聴けば、
「ロ長調(B Major)」
に聴こえ、ロ長調の調性格を感じ取ります。
つまり、全く同じ演奏を聴いているにもかかわらず、
と異なる調性格を感じ取ることになります。
こうした矛盾は以前から取り上げられていますが、
「この矛盾がどこから生じるのか?」
みなさんはこれを合理的に説明できますか?
なお、
「調(Key)」と「調性(Tonality)」と「調性格」
は言葉は似ていますが、全く異なる概念です。
詳細はこちらの記事を参照してください。
本書では、
「調性格がどこから生じるか?」
これをクロマと言う概念を用いながら、
独自の視点から言及しています。
興味のある方は是非読んでみてください。
(其の十一) (其の十二) (其の十三) (其の十四) (其の十五)