「絶対音感は1つ1つの音高を記憶している」
と言う説では実はもう1つ、
絶対音感保持者が音高を特定する際に
音名は正しいがオクターブを間違える、
いわゆる
「オクターブエラー」
と呼ばれる現象の説明がつきません。
もし絶対音感が1つ1つの音高を記憶しているのであれば、
明らかに高さの違う2つの音を間違えるはずがありません。
「ドレミファ~」と徐々に音を高くしていくと、
「~ソラシド」と再び「ド」の音に戻ってきた感覚になります。
このとき、最初の「ド」と最後の「ド」の音は
高さと言う概念で考えれば、
「周波数が異なる明らかに別の音」
であるにもかかわらず、
不思議なことに人間には音の高さが違っても
どちらも当たり前のように「ド」の音として認知されます。
これを
「オクターブ等価」
と言いますが、このとき2つの「ド」の音は
周波数比が1:2(周波数が2倍)の関係にあります。
なお、絶対音感保持者が原曲キーで唄えなくても
オクターブ違いなら唄える仕組みは、
「オクターブエラーと同じ原理」
だと私は考えています。
このことから、絶対音感は高さと言う概念とはまた違う
別の概念で音名を特定していると言う説があります。
それが「クロマ」です。
(其の十一) (其の十二) (其の十三) (其の十四) (其の十五)