みなさんはこちらのツイートを見たことがありますか?
今回は私の思い描いている絶対音感、相対音感像を
この例えに当てはめて考えてみたいと思います。
では、まず時速70kmの赤いボールと時速50kmの青いボールを
先ほどのツイートの例えに当てはめてみましょう。
絶対音感では
「赤いボールが時速70km、青いボールが時速50kmだと分かる」
のに対し、相対音感では
「2つのボールがそれぞれ時速何kmかは分からないが、
赤いボールの方が青いボールより時速20km速いのが分かる」
と言ったところでしょうか?
しかし、これは私の思い描く絶対音感、相対音感像とは違います。
どこが違うかと言えば、絶対音感と相対音感では
「観測点」
が違います。
具体的には絶対音感の観測点はそのまま変わりませんが、
相対音感の観測点は下図のように青いボールになります。
※実際には状況によって観測点は変わりますが、
ここでは青いボールを観測点として話を進めていきます。
相対音感では、つまり青いボールから観測すると、
「赤いボールが時速20kmに見える」
ことになります。
相対音感と言うと、
「赤いボールと青いボールの差が時速20km」
のように
「差が分かること」
だと思っている人も多いかもしれませんが、
相対音感の本質は
「赤いボールが実際に時速20kmに見える」
つまり、
「絶対音感とは根本的に見え方(聴こえ方)が違う」
点にあります。
これは音楽的に言えば、
「絶対音感は音名(固定ド)の概念で聴こえるのに対し、
相対音感は階名(移動ド)の概念で聴こえる」
ことを表しています。
このとき、
「青いボールが赤いボールと同じ進行方向に
時速50kmで進んでいる」
と言う情報が与えられれば、赤いボールは時速70kmだと
論理的に計算できます。
これは階名が分かっている状態で調(キー)が与えられれば、
音名を論理的に計算できるのと同じことです。
階名の「ド」、つまり「調性上の主音」
に対応します。
ちなみに相対音感の観測点が黄色の位置だった場合、
赤いボールと青いボールの速度を測らずして、
「どうして赤いボールと青いボールの速度の
差だけが分かるのでしょうか?」
ここで下図のように時速90kmの緑のボールを追加します。
絶対音感では
「緑のボールが時速90kmに見える」
のに対し、相対音感では
「緑のボールが時速40kmに見える」
ことになります。
次に下図のように3つのボールをそれぞれ時速10km減速します。
絶対音感では
「全体的に時速10km遅く見える(見え方が変わる)」
のに対し、相対音感では
「見え方は変わらない」
ことになります。
これは曲を移調したときに、
「絶対音感のトーン・クロマ次元では別の曲として認知される」
のに対し、
「相対音感のトーン・クロマ次元では同じ曲として認知される」
のと同じことです(「クロマ」とは?)。
例えば、絶対音感では
Cメジャースケール・・・「ドレミファソラシド」
Gメジャースケール・・・「ソラシドレミファ♯ソ」
とメジャースケールもキーによって違って聴こえるのに対し、
相対音感ではキーに関係なく、
メジャースケールは全て「ドレミファソラシド」
と聴こえます。
「絶対音感は移調に弱い」
と言われる原因はここにあると考えられます。
さらに下図のように3つのボールをそれぞれ時速40km減速します。
結果的に青いボールは時速0km(つまり静止状態)で、
絶対音感も相対音感も静止した位置から観測することになり、
「どちらも同じように見える」
ことになります。
これは、固定ドと移動ドが一致する「C Major(ハ長調)」の例
と考えることができます。
実は「絶対音感的な考え方」は非常に単純で直感的に分かりやすく、
絶対音感のない人もつい知らず知らずのうちに絶対音感的な
考え方をしてしまっていることがあります。
そこで本書は
「絶対音感のない人はどう考えるべきか?」
についてクロマと言う概念を用いて、
図説を交えながら解説しています。
興味のある方は是非読んでみてください。