みなさんはイギリスの音楽教育法、
「トニックソルファ法」
をご存知ですか?
トニックソルファ法と言えば階名唱(移動ド唱)を
するときに変化記号の付いた階名、例えば
「ド♯(ドシャープ)」を「ディ」
のように読ませる方法を思い浮かべる人も多いかも
知れませんが、それはトニックソルファ法の表面的な
部分でしかありません。
トニックソルファ法の本質は、
「音楽を音楽の記号から切り離すこと」
にあると私は考えています。
例えば楽譜や楽器の特定の位置を指して、
「ここが『ド』です」
と教えるのではなく、そうした
「視覚情報からは独立した形」
で、まずは純粋に、
「『ド』と言う聴覚上の感覚」
を耳に覚えさせること、これが重要になります。
そして、本来人間にはこの聴覚上の感覚が、
「周波数そのものではなく、周波数比」
つまり、
「音名(固定ド)ではなく、階名(移動ド)」
に対応すると考えられます。
例えば絶対音感のない人はキーに関係なく、
メジャースケールは全て
「ドレミファソラシド」
と聴こえるため、音名(固定ド)で捉えようとすると、
「聴覚上の感覚とは矛盾」
が生じてしまいます。
「其の一」でも書きましたが、音楽は決して
「目で捉えるものではなく、耳で捉えるもの」
です。つまり、音楽は目ではなく、
「耳を基準」
にして考えるのが最も自然だと思いませんか?
固定ド/音名教育と天動説