「絶対音感の終焉」

のんびり気ままにゴーイングマイウェイ ~Blog by 川本零~

続「絶対音感は左脳が発達」のウソ(其の一)

 

これは、

絶対音感を身に付けると左脳が2倍に発達する」

と主張している人達がこぞってその根拠としている
ゴットフリード・シュラーグ博士※が発表した論文に
掲載されているデータを抜粋したものです。

※「Schlaug」は「シュラウク」と表記されている場合もあります

 

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しかし、実際にはこのデータからそのような事実は

どこからも読み取れません。

このデータから読み取れることは、
 絶対音感の音楽家の脳の左側頭平面(1097)と
絶対音感の音楽家の脳の左側頭平面(1043)は
わずかに絶対音感の音楽家の方が大きいですが、
「ほとんど変わらない」こと。

そして、最も注目すべきは
 絶対音感の 音楽家の脳の右側頭平面(611)は
絶対音感の 音楽家の脳の右側頭平面(830)だけでなく、
絶対音感音楽家の脳の右側頭平面(736)と比べても
「明らかに小さい」ことです。

 

この論文はタイトルからも分かる通り、
脳の「アシンメトリー(非対称性)」を比較しているのであって、
決して「脳の大きさそのもの」を比較している訳ではありません。

そして、絶対音感の脳の非対称性が大きい原因は

「左脳が大きい」

ことよりも

「右脳が小さい」

ことが大きく影響していることは一目瞭然です。

 

では、一体何が「2倍」だったのでしょうか?

おそらくは、

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 もしくは、

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の赤字部分が

「約2倍の大きさ」

と言うことだったのではないでしょうか?

 

ちなみに以前にも取り上げましたが、例えば

「コーヒーを飲む人は飲まない人に比べて胃がんになりにくい」

と言う統計データは、

「コーヒーには胃がんを抑える働きがある」

と考えることも、

「胃の病気を患ったことがある人、
 あるいは元々胃が弱い人はコーヒーを飲まない」

と考えることもできます。

このように統計データは「見せ方」によって、

「全く違った内容」

に見せることができます。

 

なお、シュラーグ博士が開設しているサイト、

the Music and Neuroimaging Laboratory

「Publications」のページの一番下(1995年)に
科学誌「サイエンス」(1995年2月3日)から抜粋した本論文、

「In Vivo Evidence of Structural Brain Asymmetry in Musicians」

のPDFファイルが公開されているので、
興味のある方は確認してみてください。

(次回に続く・・・)

 

続「絶対音感は左脳が発達」のウソ

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