「絶対音感の終焉」

のんびり気ままにゴーイングマイウェイ ~Blog by 川本零~

絶対音感の終焉(其の四)

 

前回の「移調」の例に限らず、

絶対音感と相対音感の定義について(其の一)

でも述べた通り、重要なのは「表面的な結果」ではなく、

「それがどのように実現されているか?」

つまり、「how」だと私は考えています。

 

一般的に

絶対音感は固定ド」

と言われていますが、その一方で

「移動ドでも視唱できる」

と言う絶対音感者もいます。

 

絶対音感者が「移動ド」と称しているのは、
多少の違いはあるかも知れませんが、
おそらく次のような手順ではないでしょうか?

①五線譜から音符を固定ドで読み取る
②固定ドのクロマを頭の中に思い浮かべる
③固定ドを論理的に移動ドに変換する
④移動ドの符号を発音する

 

そして、絶対音感者が移動ドを苦手とするのは
音高と固定ド(音名)が強固にラベリングされているため、
③④の過程で固定ドと移動ドが不一致を起こし、

と読むような違和感を覚える、いわゆる

「ストループ効果」

に原因があると考えられます。

 

おそらく絶対音感者が「移動ドで読める、読めない」と言う議論は
③④の過程が問題とされているのではないでしょうか?
(「音名」、「階名」と言う異なる概念に、
 「ドレミファソラシド」
 と言う同じ符号を使用していることの問題とも言えます)

 

一方、非絶対音感者の移動ドは次のような手順です。

①五線譜から音符を移動ドで読み取る
移動ドのクロマを頭の中に思い浮かべる
③移動ドの符号を発音する

 

この中で実際に音感を使うのは②のプロセスだけです。

この「音高を頭の中に思い浮かべる」能力を

「内的聴覚」

と言います。

 

そして、移動ドの本質は

①「五線譜から音符を移動ドで読み取る」ことでも
③「移動ドの符号を発音する」ことでもなく、

②「移動ドのクロマを頭の中に思い浮かべる」

ことにあると、つまり

「その音高がどのようにイメージされるか?」

が重要で、そのイメージされた音高を具現化するときに
口でどのように発音するかは(例えば「あ」でも「ら」でも)
ラベリングが目的の場合は別として、
あまり重要ではないと私は考えています。

 

なお、ここで言うクロマはトニックソルファ法で言うところの

「精神的効果」

だと考えてください。

 

クロマで迫る音感の正体 ~絶対音感の終焉~

クロマで迫る音感の正体 ~絶対音感の終焉~

 

 

本記事では触れませんでしたが、
絶対音感+固定ド」と言う組み合わせも考えられます。

実際、絶対音感のない人でも移動ドは転調や無調に弱いと言う理由から
固定ドを採用している人はいませんか?

本書では移動ド(階名)の必要性、重要性について言及しています。

興味のある方は是非読んでみてください。

(次回に続く・・・)

 

絶対音感の終焉

(其の一) (其の二) (其の三) (其の四) (其の五)

(其の六) (其の七) (其の八) (其の九) (まとめ)