実は『歌うネアンデルタール』と言う本の中で、
「乳児は絶対音感で音を認識している」
と言う非常に興味深い実験結果が報告されています。
- 作者: スティーヴンミズン,Steven Mithen,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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つまり、
「生まれたときは誰しも絶対音感」
と言うことです。
そして、幼児期の頃に絶対音感が相対音感に取って代わると、
この本の中ではこれを
「脱学習」
と言う表現を使っていますが、多くの人は脳の発達と共に
自然と絶対音感を失うそうです。
しかし、ごく一部の人は絶対音感が相対音感に取って代わる前に
訓練等によって絶対音感を「脱学習」せずに「維持」していると、
これがいわゆる「絶対音感保持者」だと考えられます。
ちなみに絶対音感は「臨界期」と言って、
幼児期(具体的には6,7才と言われています)のうちに
身に付ける必要があると言われていますが、
この報告とも一致します。
「生まれたばかりの赤ん坊が絶対音感を持っている訳がない」
と考える人もいると思いますが、その辺りは
で触れたように、絶対音感の定義の問題になります。
おそらくそう考える人は聴いた音を「ドレミファソラシド」のような
符号に変換する能力をイメージしているかも知れませんが、
で触れたように、それはあくまでも絶対音感の表面的な部分に過ぎません。
絶対音感と言えば何か優れた能力で、
「脳が発達することで実現」
されているようなそんな先入観を持ってしまいがちですが、
実はその反対で、
「脳の発達が『抑制』されることで
実現されているのでは?」
と考えさせる非常に興味深い報告でした。
なお、『歌うネアンデルタール』は『倍音』(中村明一さん著)の
参考文献として取り上げられていたため、
その存在を知ることができました。
(了)
絶対音感が否定される理由