「ド」の音を
「~レミファソラシ~」
と徐々に高くしていくと一周して次にまた「ド」の音に
「戻ってきた感覚」
になります。
この2つの「ド」の音は
「高さ」
と言う概念で考えれば当然違う音であるにもかかわらず、
人間には当たり前のようにどちらも同じ「ド」の音に
分類されます。
これを「オクターブ等価」と言います。
つまり、単純に音が高い低いと言う感覚(これを
「トーン・ハイト」
と言います)とは別の次元で「ド」には「ド」、
「レ」には「レ」の
「固有の音の響き」
を感じ取り、高さが違う「ド」の音でもこの響きが
同じであれば同じ「ド」の音に分類されます。
この固有の音の響きを
「トーン・クロマ」、あるいは単に「クロマ」
(クロマはギリシャ語で「色、色彩」)と言います。
その他にも
「ピッチ・クロマ」や「ピッチ・クラス」
と呼ばれることもあります。
「ドレミファソラシド」は
「音律」と呼ばれる「周波数比」
を基に1オクターブを人工的に分割したものです。
そして、
「人間は2音間の関係性、
具体的にはその周波数比からクロマを認知する」
ことが分かっています。
例えば周波数比が1対2、つまり周波数が2倍になると
音は1オクターブ高くなりますが、
1周してまた同じクロマが認知されます。
つまり、「ドレミファソラシド」自体が
「クロマを利用して作られたもの」
と言えるでしょう。
「クロマを利用して作られた『ドレミファソラシド』は
クロマで判別するのが最も理にかなっている」
と思いませんか?
平均律では調性格が生じないと言われていますが、
絶対音感者が平均律でも調性格を感じる理由、例えば
「ベートーベンの『運命』はハ短調(C Minor)でなければ」
と感じる理由や、五線譜をどう読むべきか?いわゆる
「移動ド固定ドの問題」
にも本書の中では
「クロマ」
と言う視点から言及しています。
興味のある方は是非読んでみてください。
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